最近よく聞く発達障害。
でも結局何が発達障害で何が個性なのかよく分からない、という方に、医学的な視点からの発達障害の定義をお話します。
発達障害とは、身体や精神の発達に偏りがあり、生活に様々な困難を抱えることを言います。
特に日本では発達障害者支援法が定める「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するもの」を指すことが多いです。
発達障害の診断基準 DSM-ⅤとICD-10
発達障害をはじめとする精神科領域の診断には二種類の基準(DSM-ⅤとICD-10)が存在します。
そのため、1つの症状に複数の診断名がつくことがあり、「結局どれが正しいの?」と混乱することもあるかもしれません。
それもふまえて、発達障害とよばれる症状についてお話していきます。
自閉スペクトラム症・広汎性発達障害
ネットや本などの情報では「自閉症」や「アスペルガー障害」「高機能自閉症」「自閉症スペクトラム」などさまざまな呼び方があり、混乱してしまいますね。
DSM-Ⅴでは、これらを総称して自閉スペクトラム症(ASD)、ICD-10では、広汎性発達障害(PDD)と呼んでいます。
これらの症状の特徴は大きく分けると次の3つです。
- 社会性の獲得の困難さ
- コミュニケーション能力の偏り
- 興味の幅や活動が限定されていること
自閉スペクトラム症の「スペクトラム」とは「連続体」という意味です。
知的な遅れの有無や上記の3つの特徴の現れる度合いに幅があるため、それをまとめるために「スペクトラム」と名付けられました。「広汎」も「範囲が広い」という意味合いであり、「スペクトラム」とほぼ同じ意味と捉えて良いでしょう。
注意欠陥多動性障害(AD/HD)
このADHDはDSM-Ⅴの「attention-deficit / hyperactivity disorder」の略称で、日本語訳では「注意欠如・多動性障害」や「注意欠如・多動症」などとも訳されています。
ICD-10では多動性障害とほぼ同一の定義がされています。
この症状の特徴は大きく分けると次の3つです。
- 多動性(過活動)
- 不注意(注意障害)
- 衝動性
ただし、これらの特徴が見られるだけでは診断は下されません。
こういった特徴によって日常生活や学習に悪い影響が起こっている場合に限って診断します。また診断には6歳未満ごろから発症し、少なくとも6ヶ月継続して症状が出ている必要があります。
またこの多動性や衝動性の強い人もいれば、多動性は低いが不注意の傾向が強い人、全ての要素が混合している人もいます。
学習障害(LD)
学習障害とは、知的な発達に遅れはない一方で、聞く・話す・読む・書く・計算する・推論する能力のうち特定の能力の習得やその能力を使うことに困難さが生じている状態です。
学習障害の背景には視空間認知と呼ばれるモノの距離感を捉える力や、協調運動と呼ばれる自分の思った通りに身体を動かす力の苦手さなどがあると考えられています。
まとめ
日本で発達障害と呼ばれているのは主にこの3つの障害です。
もちろん、気になることがある方はこの記事だけでなく医師にしっかり相談してくださいね。
コメント