感覚特性とはなんでしょうか?それは感覚への反応の偏りのことです。感覚に対して過敏な場合と鈍い場面があります。
まずは五感と呼ばれる視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚から感覚特性について見てみましょう。
①視覚
視覚刺激に過敏だと注意を1点に向け続けることが難しくなります。
授業中、最初は先生を見て話を聞いていたはずが先生の頭の上にある時計の動きが気になり、じっと眺めているうちに、指示内容を聞き逃してしまい、集団の中で行動が遅れてしまう…などのトラブルがあります。
本人はボーッとよそ見をしているわけではないんです。
蛍光灯の光の強さや白いプリントの光の反射にストレスを感じ、他の子よりも疲れきってしまうことがあります。
白いものや反射が刺激になることがあります。
逆に視覚刺激に鈍いと刺激を求めて鮮やかな色合いのアニメや本を眺めたり、太陽などまぶしい光をずっと見てしまい、適切な場所へ目を向けることが難しくなります。
このような場合には見える範囲の視覚刺激を出来るだけ減らして見るべき場所を1点にする、「目を見てお話を聞くよ」と見るべき場所を具体的に指示する、明かりを調整する、サングラスを使う、プリントの色合いを暗くするなど環境に工夫をすることで活動しやすくなります。
よく観察して特性を理解していくことが本人の理解につながります
②聴覚
聴覚刺激に過敏だと1つの声を選んで聞き取ることが難しくなります。
私達は周りの雑音を排除し、聞きたい人の声を拾うことが出来ます(これを心理学の用語で「カクテルパーティー効果」といいます)。しかし、聴覚刺激が過敏だとどの音も平等に聞こえ、聞くべき指示だけを聞くことが出来ないことがあります。
逆に聴覚刺激への鈍さがあると、通常の声量では指示内容の聞き取りが難しかったり、自分の声の大きさを感じとることが出来ず大きな声を出してしまうことがあります。
自分自身の声が聞こえにくいので、自然と声が大きくなってしまうことも・・・
共通した対応としては出来るだけ静かな部屋で活動できるように環境を設定することが挙げられます。
また過敏さにより、周りの音でしんどい思いをしているようならイヤーマフを使ってみる、など環境の工夫が出来ます。
イヤーマフは購入してもいいですが、レンタルもありますのでレンタルで子どもに合ったものを探してから購入した方が良いでしょう。
鈍さで適切な声量が分かりづらい場合は「声のものさし」を使い、声量を視覚的に示すことで分かりやすくする方法もあります。
③嗅覚・味覚
嗅覚が過敏だと特定の臭いに対しては強い嫌悪感を抱きます。
また味覚が過敏だと特定のもの以外の味を受け付けることが出来ません。
これらによって偏食になることがあります。
何が食べられて、何が食べられないのか、そのメモに加えてその時の反応を書き留めることで、より特性が理解できます!
逆に嗅覚や味覚が鈍いと強い臭いや味の濃いものを好み、この場合も偏食になる可能性があります。
これらはただの好き嫌いではなく、生理的に受け付けられないというものです。
食べられることを目指すには時間がかかります。
ただ、視覚優位な場合は見た目が違うだけで食べられたり、食べられなかったりしますのでなぜ食べられないかを見極める必要があります。
成長過程で食べられることもありますし、食べられない場合はサプリメントなどで栄養素を補う方法もあります。
④触覚
触覚が過敏だとお友達との関わりや人が多い場所に抵抗を示しパニックになったり、特定の衣服しか着られないといったことが起こります。
襟タグや繊維に敏感なことがあります
一方触覚が鈍いと力加減が分からずお友達が嫌がるほど強く叩いてしまったり、触覚刺激を求めて指かみ・爪かみなどがやめられず、幼く見られたり、不潔に見られたりして注意されたり、お友達にからかわれてトラブルになるといったことが起こります。
力加減がわからず、本人は優しくしているつもりなのに強くなってしまうことがあります。
過敏な場合には弱い触覚刺激(スポンジでふわっと触るなど)から慣らしていき、受け止められる触覚刺激の範囲を広げていくことが出来ます。また鈍い場合には触覚刺激が満たされるグッズを使う(バランスクッションの上に座る、ヤッキーボールを握る)などして、触覚刺激を満たしてあげると指かみ・爪かみは落ち着きます。
やめなさいの注意では、やめられない
どの感覚特性も脳の働きによって生まれているものです。そのため「やめなさい!」と言葉で注意しても簡単にやめることは出来ません。
適切に刺激を与えてあげることで、子どもが過ごしやすい環境づくりをしてみて下さいね。
コメント