
「療育に通うだけではなく、家庭でもできる工夫があります。」
家庭での過ごし方や接し方が、子どもの成長を支えます。
発達障害のグレーゾーンを抱える息子との日々から学んだ、小さな工夫をお伝えします。
療育を受ける子供の数は年々増えています。
グレーゾーンと診断されたお子さんの親御さんも、「早くから療育を始めておきたい」と考える方が多いでしょう。
実は、家庭での過ごし方や接し方が、療育の効果をさらに高める鍵になります。療育に通うだけでなく、日常生活の中でできる工夫について考えてみませんか?


0~3歳頃の凸凹を抱える息子
私の息子は現在3歳で幼稚園に通う直前。
赤ちゃんの頃は、寝るのは下手だけれどあまり手のかからない大人しい子供でした。
息子は首が座るのが遅めで、腰が座るのは平均的。
しかし、ズリバイやハイハイが遅く、目の前におもちゃがあっても、手を伸ばして届かなければすぐに諦めてしまうような子でした。
当時は「チャレンジ精神が少ない子だな」と思っていました。
息子には変わった一面が多く、私は0歳の頃から「この子は凸凹を抱えた子かもしれない」と感じていました。
1歳半健診の際、心理士さんとの個別相談を希望し、発達検査や経過観察を行うようになりました。
まだ小さいうちは専門家でも診断を下すことは少なく、「様子を見ましょう」と言われることがほとんどです。私たちの場合も、2歳になった春にようやく療育センターへ通い始めました。
凸凹を抱える息子、愛着関係を築くのに必要だった療育
発達検査では、「真似っこが苦手になる可能性があります」と指摘されました。
また、積み木や動作を真似する課題ができないなど、いくつかの遅れがあると分かりました。
息子は家でも手遊びや体操、歌などを真似することが全くなく、ブランコや滑り台にも挑戦しませんでした。
遊具に乗るのが怖い子は珍しくありませんが、息子の場合は「危険だ」と感じても身を守る行動が取れず、何かに掴まることさえできなかったのです。
「この足をここに置いて、次は手を…」と一つひとつ指示を出して教えても、指示そのものが理解できず、結局挑戦を諦めてしまうことも多くありました。
子どもには、大きく分けて「サポートが必要な子」と「自分で学びながら身に付ける子」がいます。
息子は完全に前者で、一つ一つ丁寧に教えてあげる必要がありました。
特性に気づくまで
息子には以下のような特性がありました。
- 感覚の特性
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感覚過敏や感覚鈍麻、聴覚過敏がある。
- 言葉の課題
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言葉が遅れ、聞いた言葉をそのまま繰り返せず、別の言葉に置き換えてしまう。
創作言語が多く、お喋りでも会話が成り立たない。
- 手先の不器用さ
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スプーンやフォークを使うのが難しい。
- 行動の傾向
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見慣れないものに挑戦できず、慣れた行動を好む。
切り替えが苦手でパニックになることが増えた。
こうした特性を抱え、徐々に息子との向き合い方が難しくなっていきました。
療育の中で指摘されたのは、「親子の愛着関係がしっかりできていない可能性」です。
息子は後追いを全くせず、抱っこにも興味を示さない子でした。
泣いているときに抱っこをしても、泣き止まないことが多かったのです。
ショックもありましたが、後追いも抱っこも無いのですから、そうであっても不思議では無いですね。
療育を通じて得たもの
ショックを受けながらも、作業療法士さんの指導を受け、息子に合った接し方や対応を学びました。
療育を始めてからは、愛着関係もしっかり築けるようになり、少しずつ成長を感じられるようになりました。
そこで学んだ、我が子流ではありますが対応や考え方を少し書きたいと思います。



因みに、息子は広汎性発達障害や学習障害があるのではないかとの見立てなので、違う凸凹をお持ちのお子さんに参考になるかはわかりませんが、考え方だけでもお力になれるといいなと思います。
凸凹を抱えた息子、言葉を発さない時期の家庭での療育は



療育とはって言葉を聞いてことはありますか?
その子の苦手な分野を練習し、経験を積ませる中で、自分の困りごとに対応する力を育むことだと、私は考えています。最終的には、自分の力で問題を解決しながら生きていけることを目指す育て方です。
言葉を発しないうちから始める「言葉がけ」
赤ちゃんに「これはダメだよ」と言っても、まだ分からないと思っていませんか?
実は、赤ちゃんは意外と賢く、言葉を発しない時期でも話しかけることで良い刺激を受けます。
言葉がけを始めるのは早いほど良いのです。
息子の言葉の遅れと初期のコミュニケーション
息子は1歳半頃まで静かな赤ちゃんでしたが、その後急にお喋りな子に変わりました。
とはいえ、言葉の発達はゆっくりで、しばらくの間「マママママ」と何でも「マ」で話していました(笑)。
少しずつ単語を話すようになりましたが、3文字以上の言葉は全て3文字に省略してしまいます。
それも、元の単語とは全く異なる発音になるのです。
例:
- 「おさかな」→「あかま」
- 「いただきます」→「あばちゅ」
①言葉の代弁
泣いたり怒ったりしている赤ちゃんや、言葉の遅れがある子は、自分ができる方法で感情を表現しています。その気持ちを「代弁」してあげることで、子どもの発達を助けることができます。
例えば:
- 「おもちゃが欲しかったんだね、遊びたかったね」(共感と気持ちの代弁)
- 「でも、お友達が先に遊んでるから、順番を待とうね」(行動の提案)
代弁されることで、子どもは「自分の気持ちに気づく」きっかけを得られます。
また、「わかってもらえた」という安心感にもつながり、言葉の発達を促します。
発達障害の特性がある子どもの場合、「悲しい」「怖い」などの基本的な感情は理解していても、自分がどうしたいのかという気持ちを表現するのは苦手です。
そのため、代弁によって言葉を覚えるきっかけを作り、自分の気持ちを認識する手助けをしてあげましょう。
さらに、行動の提案を加えることで、「次の行動に切り替える力」を育むこともできます。
例えば、悲しい気持ちで終わらせないために「次はこれをやってみよう」と提案することで、気持ちをポジティブに切り替える方法を自然に教えることができます。
まずは、声をかけて気持ちを代弁してあげることが大切です。
②嫌なことは無理にさせない
スプーンやフォークを使う練習、遊具で遊ぶ、リトミックへの参加など、子どもがなかなか興味を持たないことに対して心配になるかもしれません。
しかし、この時期に無理をさせる必要はありません。
嫌なことを無理に頑張らせると、嫌悪感が強まり、楽しむ気持ちが失われてしまいます。
この頃は、のんびりと過ごして問題ありません。
子どもの苦手なことを無理に克服しようとせず、「どんなことが苦手なのか」を把握するだけで十分です。



療育は、親と子どもの日々の関わりを通じて進めることができます。特に、言葉を発さない時期でも、言葉がけや代弁を積極的に行うことで、子どもの発達を助け、ポジティブな成長を促すことができます。無理をさせず、子どものペースに合わせた対応を意識することで自分自身も子どもも前向きに関われると思います。
次回は、少しずつ自我が強くなる時期の家庭での療育はをご紹介します。
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