凸凹を抱えた息子、発達障害の特性に対する対応 part4

はな子さん

「発達障害の子どもと向き合う毎日の記録」
子どもの個性を受け止め、寄り添いながら進む育児のヒントを、実体験をもとにお届けします。特性ごとに対応の工夫や小さな気づきを共有。親子の成長を感じる瞬間がきっと見つかるはずです。

発達障害やその特性の現れ方は、お子さんそれぞれで異なります。

同じ診断名でも個性によって特徴や困りごとは異なるため、適切な対応が重要です。

ここでは、私が気を付けていたことをいくつかご紹介します。

今回の記事は 「発達障害の体験談」シリーズ Part 1~4 の一部としてお届けしています。このシリーズでは、私が実際に体験したことをもとに、発達障害を抱えるお子さんとの向き合い方や対応の工夫についてお話ししています。
他の記事もぜひご覧ください!
Part 1: 家庭でできる療育の工夫
Part 2: 少しずつ自我が強くなる時期の過程での療育
Part 3: 気づいてあげたい苦手なこと
Part 4: 発達障害の特性に対する対応
シリーズ全体を通じて、少しでも皆さんのお役に立てれば嬉しいです。
目次

① 感覚過敏や感覚鈍麻への対応

感覚過敏や鈍麻は子どもによってさまざまな形で現れますが、本人にとって「不快感」を引き起こすわかりやすい困りごととなることが多いです。

例えば息子の場合、汚れることが苦手で、砂遊びのときに直接砂を触れませんでした。

また、涙で顔が濡れるのを嫌がり、泣くたびに騒いでいました。

そこで落ち着かせたうえで、ティッシュを自分で取りに行く方法を教えると、次第に騒がなくなりました。

似た例として、一口食べるたびにお手拭きで口を拭く子もいるようです。

食事の際の工夫

食材の食感や料理の色に不快感を示す子どももいます。

このような場合は、無理に食べさせる必要はありません。

不快感を避けて、食事が苦痛にならないよう配慮することが大切です。

ただし、見えないようにすると食べられることがあったり、食感を変える工夫で克服できる場合もあります。

単純に避けるだけではなく、いろいろ試してみることで改善につながることもあります。

聴覚過敏の対応

聴覚過敏の子どもには、特定の「怖い音」があります。

たとえば息子は赤ちゃんの頃、音の鳴るおもちゃやCDの音を怖がっていました。しかし、こうした過敏さは少しずつ和らぐ場合も多いです。

緊張や不安が強いときには、それまで平気だった音を突然怖がることがあります。

また、予期せぬ音に驚いてパニックになることもあります。

このようなときは、無理をさせず、「大丈夫だよ」と優しく抱きしめて落ち着かせると良いでしょう。

無理のない範囲で安心感を与えることで、徐々に改善していきます。

感覚鈍麻のケース

感覚鈍麻も特性として見られることがあります。

息子の場合、冷たい水を浴びても平気だったり、暑さに気づきにくく、厚着をしていても特に不快を訴えませんでした。

このような場合、親としては以下を心掛けると良いでしょう

  • 親が慌てず冷静に対応する
  • 不快感を無理に我慢させない
  • 自分でその状態を改善する方法を教える(可能であれば)

過敏や鈍麻の特性に直面したとき、子どもの気持ちに寄り添いながら、少しずつできることを増やしていく姿勢が大切だと思います。

② パニック

パニックの症状は、お子さんによって現れ方が異なります。

これは精神障害などの「パニック障害」とは異なるものなので、混同しないようにしてください。

パニックは、大きなストレスや不安感が引き金となり起こります。

その表れ方はさまざまで、泣き叫ぶタイプ、怒るタイプ、叩くタイプ、隅で静かに過ごすタイプなどがいます。

特に静かに過ごすタイプの子どもは、親がそれをパニックだと気づきにくいこともあります。

息子の場合

息子は泣き叫ぶタイプでした。

パニック状態になると頭の中が混乱していて、こちらの声が届きません。

まず「落ち着こうね、大丈夫だよ」と声をかけ、安心させることを優先しました。

その後、話ができるようになったタイミングで「泣かなくてもいいんだよ、こうすればいいんだよ」と、具体的な対処法を伝えるようにしました。

最初は「落ち着いて」と言ってもなかなか落ち着けませんでしたが、根気よく続けた結果、徐々に自分でコントロールできるようになりました。

実際に試したこと

胸のあたりを優しくトントンとたたいたり、撫でながら「落ち着こうね」と声をかけました。

また、「泣いていてもわからないよ。どうしたの?落ち着いてから教えてね」と促していました。

こうすることで、息子は自分で気持ちを伝える力を少しずつ身に付けていきました。

根気強く対応を続けた結果、以前よりもパニックの頻度が減り、私自身も手応えを感じています。

③ こだわり

発達障害の特性の一つとして、さまざまな場面で「こだわり」が見られることがあります。

たとえば、決められた道順でないと不安になったり、遊びの中に独自のルールを作ったりすることです。

親としての対応

親としては、「無理にこだわりを崩そうとしない」ことが重要です。

可能な限りそのこだわりに寄り添い、対応できるところは合わせてあげます。

ただし、どうしても対応できない場合は、理由をきちんと説明した上で「ごめんね」と伝えるようにしていました。

また、代わりの行動や物を提案することで、子どもが納得しやすくなる場合があります。

息子の場合

息子には、特に「ミニカーに対するこだわり」がありました。おまるの場所やお風呂場までミニカーを持って行き、置く場所や向きにまで細かい決まりがありました。このため、何をするにも時間がかかり、親としてイライラしそうになることもありましたが、事前に余裕を持って動くことで落ち着いて対応できるように心掛けました。

どうしても付き合えない場合は、以下のような工夫をしました:

  • 代替案の提案:「ミニカーの代わりにシールにしようか?」や「それは難しいけど、これならどう?」と別の選択肢を示す。
  • 選択肢を与える:「○○するのと△△するの、どっちにする?」と視点を変える。

さらに、こだわりが発動する前に「ここはこうします」と簡潔に説明すると、納得してくれることがありました。これは、事前に子どもの不安を軽減する効果があると感じました。

少しずつの改善

こだわりはすぐに改善されるものではありませんが、親子で試行錯誤しながら少しずつ対応していくことで、徐々に柔軟になっていくことがあります。

その子に合った方法を探しながら、一歩ずつ進んでみてください。

④ 切り替え

発達障害の特性の一つに「切り替えの難しさ」があります。

これは健常児によく見られる「まだ遊びたいから嫌だ」「おもちゃを取られて嫌だ」といった感情の動きとは異なります。

例えば息子の場合、食事の時間だとわかっていても、目の前にご飯が出されても食べられないことがありました。

「食べたい」という気持ちがあっても行動に移せず、泣いてしまうのです。

このようなとき、私自身「食べればいいのに」と思ってしまいますが、本人もとても辛いのだと理解しました。

切り替えをスムーズにするための工夫

切り替えには「きっかけ」を与えることが必要です。

たとえば、事前に何度か声をかけるだけでも切り替えができる場合があります。

さらに、耳からの情報だけでは脳内にうまく伝わらない子どもには、視覚的な情報を追加することでスムーズに理解できる場合があります。

視覚支援の活用

絵カードやタイマーを利用する方法が有効でした。

  • 絵カード
    次にやることを絵やイラストで示すことで、視覚的に理解しやすくなります。我が家では特に幼稚園のプレ教室での切り替えの際に役立ちました。カードの準備には手間がかかりますが、事前に見せておくと子どもが次の行動をスムーズに受け入れられる場面が増えました。逆に、絵カードを準備できなかったときは状況がうまく伝わらず、息子がパニックになることもありました。
  • タイマー
    「あと5分でこのタイマーが鳴ります。鳴ったらお片付けを始めます」といった形でタイマーを使いました。特に障害児向けのわかりやすいタイマー(色分けや視覚的に残り時間が分かるもの)は効果的です。時計が読めない子どもでも直感的に理解できます。

個々の子どもに合わせた対応

切り替えが難しい状況でも、声かけや視覚支援がきっかけとなることがあります。ただし、イヤイヤ期の子どもには必ずしもすんなりいくわけではありません。親としてできることは、「その子に合った方法」を模索することです。

経験から学んだこと

絵カードを繰り返し使うことで、息子も徐々に切り替えが身についてきました。その結果、最終的には絵カードが不要になる場面も増えてきました。切り替えのスキルを育むためには、親が焦らず、丁寧に「切り替えやすくするためのきっかけ」を与え続けることが大切だと感じています。

⑤ 多動

多動の現れ方はお子さんによってさまざまです。

息子の場合、席におとなしく座ることは比較的できる方でしたが、「多弁」といった形で多動の特性が現れました。

多動は、体にある程度の刺激を取り入れることで安心感を得ようとする行為です。

その刺激量は子どもによって異なり、緊張や不安が強いときに多動の傾向が顕著になることもあります。

息子の場合

息子は療育や幼稚園のような場面で、以下のような行動が見られることがありました:

  • 体をうねうねと動かし続ける
  • 机に足を乗せる
  • 机に上半身を乗せてブラブラする

こうした様子は、落ち着きのなさとして表れていました。


対応の工夫

このような場合、親としての対応が重要です。ポイントは「怒らないこと」です。

  • 姿勢をさりげなく正す
    子どもの足が動くならそっと抑えたり、机に体を乗せている場合は姿勢を整えるなど、無理のない範囲で対応します。
  • 集中を促す
    「あれを見てごらん」など、子どもの注意を別のことに向けて、動き回る行動を和らげる工夫も有効です。

まずは「この子は緊張しているのかもしれない」「不安を感じているのだろう」と、行動の背景を理解しようとする姿勢が大切です。

その理由がわかれば、解決の糸口が見えてくることもあります。

⑥ 視野の広さに苦手を感じた場合

視野の広さや集中力に関して苦手を抱えるお子さんもいます。

たとえば「共同眼球運動」などの視覚的な動きに困難を感じる場合、以下のような工夫が役立ちます。

工夫のポイント

  • 遠くにあるものをわかりやすく教える
    指さしや具体的な説明をすることで、視覚的な理解を助けることができます。
  • 気が散る要因を減らす
    注意が他のことにそれないように、テレビを消したり、使用しないおもちゃを見えない場所に片付けるといった対応がおすすめです。

心の余裕を持つ

子どもがなかなか取り組んでくれず、ついイライラしてしまうこともあるかもしれません。

しかし、親が感情的になると、お互いに辛くなってしまいます。

気持ちに余裕を持ちながら、子どものペースに寄り添うことが大切です。

⑦ その他

姿勢を保つ工夫

姿勢を保つのが難しい場合、次のような工夫が役立ちます:

  • 足を固定する:ももが自由に動かないような形のサポートを用いる。
  • 背もたれの形状:寄りかかれないタイプの椅子を使う。

このような道具を取り入れることで、正しい姿勢を維持しやすくなります。

手先の訓練

手先を使う練習として、以下のような遊びが効果的です:

  • 箱に穴を開けて遊ぶ
    小さな穴を開けた箱に、子どもの好きな絵柄を付けたピックを差し込む遊び。
  • ビー玉遊び
    小さい物を入れる練習として、ビー玉を小さな入り口に入れるおもちゃを作る。

お子さんが興味を持つテーマやデザインを取り入れると、楽しみながら訓練できます。

手遊びや集団行動が苦手な場合

発達障害を持つお子さんは、手遊びや集団行動を見て楽しむことはあっても、自分でやりたいとは思わないことがあります。無理に参加させると、処理が追いつかず疲れる原因になります。

私が試した方法をご紹介します:

  1. リラックスした環境で始める
    夜寝る前のベッドの上など、リラックスしている時間に私が一人で手遊びや体操をするところから始めました。
  2. 少しずつ誘導する
    「歌うだけ」「最初の部分だけ」「絵本を読む前に少しだけ」といった形で、少しずつ動きを取り入れました。最初は嫌がっても、続けていくうちに子どもの反応が変わり、簡単な動きには参加できるようになりました。

現在でも、みんなと一緒にはやりたがりませんが、自分のペースで楽しむことができるようになっています。

じゃんけんなども、少しずつ楽しめるようになりました(ルールはまだ理解していませんが)。

感覚統合へのアプローチ

発達障害のお子さんは「感覚統合」の難しさから、特定の活動に強い苦手意識を持つことがあります。

こうした場合、一つひとつ丁寧に、その子のペースに合わせた練習を重ねていくことが重要です。

まとめ

年齢に関係なく、発達障害のあるお子さんには感覚の違いを理解してあげることが大切です。

頭ごなしに怒らず、話を聞く姿勢を持つことで、親子の信頼関係が深まります。

療育に通い、家でも工夫を続けるうちに、息子との「親子の愛着関係」が築かれていきました。

息子は私がそばにいる安心感から、少し嫌なことにも挑戦するようになり、不安なときには抱っこを求めてくるようになりました。

このような、周囲では「普通」とされる行動をしてくれるようになったことに、喜びを感じています。

療育に通っている方も、そうでない方も、家での対応に少し工夫を加えてみませんか?

きっとお子さんが応えてくれる瞬間があると思います。

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