自閉スペクトラム症・広汎性発達障害の世界を見てみよう

名前はよく聞くけれど、実際はよく分からない自閉スペクトラム症・広汎性発達障害と呼ばれる障害。「どうしてこんなことをするの?」「なんでこんなこともわからないの?」と思われている方もいらっしゃるかもしれません。

今回は自閉スペクトラム症・広汎性発達障害の3つの特徴である

①社会性の獲得の困難さ

②コミュニケーション能力の偏り

③興味の幅や活動が限定されていること

がどのようなものか、どうして起こるのかをお話しますね。

目次

社会性の獲得の困難さ

誰かが「あ!」と驚いて自分の後ろを見ている時、あなたはどうしますか?慌てて振り返るのではないでしょうか。

または、人にうっかりぶつかってしまったとき「すみません」と謝るのも、当たり前なように思えます。

しかし、社会性獲得に困難さを抱えていると、相手の立場から世界を見ることがとても難しくなります。

相手が自分の背後の何かに驚いていても、自分の見えている範囲の世界には驚くようなことがないので何が起きているかよく分かりません。

自分が人にうっかりぶつかってしまったときも、突然相手が現れてぶつかってきたように感じられて、謝るどころか相手を非難することさえあります。

このように相手の立場から世界を見られないことでトラブルが起きてしまったり、周りの状況が理解できず集団行動に参加しづらくなったりすることがあります。

コミュニケーション能力の偏り

人は個人差はありますが生後10ヶ月程度から「指さし」でコミュニケーションを始めます。

それは自分が好きなものや欲しいものを相手に伝えたいという欲求から埋まれるものです。

ですが、①で見てきたように相手の立場で世界を見られない場合、そもそも相手は自分と別の存在だという意識を持ちにくくなります。

別の存在であることに気がつかないと、わざわざ何かを伝えたいという欲求も生まれません。そのため、指さしや発語がない、目が合わないということが起こります。

逆に相手の話を遮って話し始めてしまう、あるいは話し出すと止まらない、ということもあります。

これも自分と相手の間に明確な区別を感じられないため、自分が話したい時は相手は聞いてくれるし、自分が面白いことは相手も面白いという前提にいるため起こります。

しかし、相手はその前提で生きてはいません。嫌がられたり、怒り出したりすることもあります。

その前提がずれているため、相手が思う通りにならないとパニックや癇癪、友達とのトラブルなどが起こります。

興味の幅や活動が限定されていること

自閉症と言われる人たちに見られる特徴としてよく聞かれるのが「同じ道じゃないとだめ」「予想外のことに癇癪が起きる」などです。

なぜ、興味の幅の限定や同じ活動への執着が起こるのでしょうか。

例えば、あなたが登山をするときに決められたルートから外れて鬱蒼とした木々の中を進んでみようと思うでしょうか?

「遭難するかも」「熊が出るかも」「蛇に噛まれたら」など不安要素を考えると余程のことがない限り挑戦はしませんね。

それと同じように、自閉症の人たちにとっていつもと違う道やいつもと違うことはとても不安でストレスになるのです。

また「数字や平仮名が好きで小さい頃から読み書きできた」「電車が好きでずっと眺めている」などもよく言われることです。

このような興味の限定の理由は一説には、変わらず存在し続ける数字や平仮名、またいつも時刻通りに走る電車が安心感を与えるためと言われています。

このような特徴は安定した環境がある限りは問題になりませんが、道が工事中で通れないのに納得せず癇癪を起こして泣き叫ぶなど、対応に困ってしまうことがあります。

まとめ

自閉スペクトラム症・広汎性発達障害の方の世界の見え方を知るには、東田直樹著「自閉症の僕が跳びはねる理由」や泉流星著「地球生まれの異星人」などの当事者の自伝があります。

ご興味がある方はぜひ読んでみてくださいね。

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